とあるヰをかるキツネのモノ語り - ナ

　森の中に狼の跡形はもうなく消え去ってしまいました。

　紅の狐はこれから本当の平和がやってきたと信じています。そして、今まで黙っていたドラが口を開きました。

「お前の願いが叶ったのだから、今度は私の願いを聞いてくれない？」

「できる限りのことなら手伝うよ」

　そう答えると、ドラに近づいてと頼まれ、内緒話をするかのように、紅の狐は近づきました。すると——

329Please respect copyright.ＰＥＮＡＮＡReeMWKB9CU

　むしゃむしゃむしゃむしゃ。

　ドラは大口をあげました。

　むしゃむしゃむしゃむしゃ。

　ドラは紅の狐を食ってしまいました。

329Please respect copyright.ＰＥＮＡＮＡIu2C0fT8lf

　ドラは山奥の狼を食い、赤い狐を食い、最後には赤い狐を追いかけてきた黄色い狐さえも食ってしまいました。

　すべてを食い尽くしたドラは、蝙蝠のように大きな翼を広げて、空を高く飛びました。その美しくて恐ろしい姿は最後、白煙のように山間のどこかへと消えていきました。329Please respect copyright.ＰＥＮＡＮＡ3tRMIfV7EK
329Please respect copyright.ＰＥＮＡＮＡYwcuuUK1Rx

ns216.73.216.113da2

介面主題:

字體大小:

行距:

段距:

自動加載下一章