とあるヰをかるキツネのモノ語り - ナ

　森の中に狼の跡形はもうなく消え去ってしまいました。

　紅の狐はこれから本当の平和がやってきたと信じています。そして、今まで黙っていたドラが口を開きました。

「お前の願いが叶ったのだから、今度は私の願いを聞いてくれない？」

「できる限りのことなら手伝うよ」

　そう答えると、ドラに近づいてと頼まれ、内緒話をするかのように、紅の狐は近づきました。すると——

282Please respect copyright.ＰＥＮＡＮＡmj0L15E77N

　むしゃむしゃむしゃむしゃ。

　ドラは大口をあげました。

　むしゃむしゃむしゃむしゃ。

　ドラは紅の狐を食ってしまいました。

282Please respect copyright.ＰＥＮＡＮＡw3JYUHhX4a

　ドラは山奥の狼を食い、赤い狐を食い、最後には赤い狐を追いかけてきた黄色い狐さえも食ってしまいました。

　すべてを食い尽くしたドラは、蝙蝠のように大きな翼を広げて、空を高く飛びました。その美しくて恐ろしい姿は最後、白煙のように山間のどこかへと消えていきました。282Please respect copyright.ＰＥＮＡＮＡ309myINbzh
282Please respect copyright.ＰＥＮＡＮＡ9V6y3UTVuz

ns216.73.216.30da2

介面主題:

字體大小:

行距:

段距:

自動加載下一章